今回は映画の感想であります。ネタバレはできるだけ控えますが映画の内容に触れているので読む際はご注意下さい。
「劇場版ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス」 公開して二週間、やっと観れました~。
© 2020 円谷プロ 松竹
ウルトラマンタロウの息子であり、父と同じく地球を守ってきたタイガのTVシリーズの完結編となる本作。
本来3月に上映する予定でありましたがコロナウイルスの影響によって延期となり、実に5か月の時を経て無事公開となりました。
いや~待った甲斐がありました☺
タイガが一人のウルトラマンとして成長した姿、宿敵であるウルトラマントレギアとの決着、かつての親友であったトレギアを救いたいタロウ、そして後輩の危機に駆け付けるギンガ・ビクトリー・エックス・オーブ・ジード・ロッソ・ブルの歴代ウルトラ戦士etc.
ギンガ~タイガまでのいわゆる新世代ヒーローズの集大成となる本作。こういったオールスター物の映画って、どうしてもゲストが目立ちすぎて本来の主役を食ってしまうってパターンがよくあるんですが、本作の場合はそういったことは一切なく、しっかりタイガとしての映画であり、先輩たちは脇役かつ良き先輩としてタイガを導いているといった印象です!!
この記事では劇中で僕が印象に残った部分に触れていきたいと思います。
主人公とウルトラマンの信頼関係
ウルトラ戦士が地球で活動する際の方法としていくつかパターンがあります。
ウルトラマン自身が地球人に擬態する場合や、地球人と一体化する場合。タイガの場合は後者です。
物語の中では、タイガの他にウルトラマンタイタス・ウルトラマンフーマが主人公である工藤ヒロユキと一体化しています。
四人のチームワークによってこれまで幾度も危機を乗り越えていきました。
© 2019 円谷プロ テレビ東京
映画内でも三人の宇宙人・一人の地球人の関係性がクローズアップされていました。
これまでどんな困難も乗り越えてきたという経験が変な自身に繋がってしまい、調子に乗ってしまうヒロユキ。
それを心配するタイガら三人。
父親であるタロウが闇堕ちし息子である自分に攻撃を加えてきたことにショックを受けながらも、平静を装うために震え声で周囲に余裕な態度を見せるタイガ。
そんなタイガに対し強がらなくてもいいと語りかけるヒロユキたち。
最終決戦が終わり、光の国へ帰るタイガらを見送るヒロユキ。
これまで培ってきた絆が試されるシーンがいくつもあり、TVシリーズからタイガを見守ってきた人たちにとっては感慨深い物ばかりです。
長い歴史を持つウルトラシリーズの中ですが、人間と地球人の繋がりというものが一番の醍醐味ではないでしょうか?
個人的には、息子であるタイガを大きく成長させてくれた工藤ヒロユキという地球人に対してタロウが労いの言葉をかけるシーンでウルっときてしまいました😢
かつての英雄たちの成長した姿
さて映画の中での注目ポイントとしては、タイガ以前の歴代ウルトラ戦士の再集結ではないでしょうか?
ウルトラマンギンガ・ウルトラマンビクトリー・ウルトラマンエックス・ウルトラマンオーブ・ウルトラマンジード・ウルトラマンロッソ・ウルトラマンブル、そしてウルトラマンタイガは総じて新世代ヒーローズと呼ばれ、ウルトラマンの新たな世界観を広げた存在です。
本作はその物語を一区切りとした作品でもあります。

左から、オーブ・エックス・ビクトリー・ギンガ・タイガ・ジード・ブル・ロッソ
さきほども述べましたが、彼らは先輩としてタイガの活躍を邪魔することなくサポートしています。
ウルトラシリーズを含めた特撮作品の見どころの一つは、ほぼ無名の俳優さんの演技の成長を確認できるところです。
始めはほとんど棒読みに近いセリフであっても、終盤では見違えたように役者としての成長も見せてくれるヒーローたち。
さらに劇場版になるとより大人っぽさが増しています。
キャラクターとしても修羅場を潜り抜けてきただけあり、変身せずに生身のアクションで敵を圧倒するカッコよさです(もちろんタイガ=ヒロユキもですが…)。
かつての戦士が現役の戦士と掛け合う姿も注目ですが、中でも一番良かったのは
父であるウルトラマンタロウと対峙することに悩むタイガと寄り添うヒロユキ、そこに助言するウルトラマンジードこと朝倉リクのシーンでした。
ウルトラマンジードの父親はかつて光の国を襲い、ウルトラ戦士と何度も対峙したウルトラマンベリアルです。
同じく親子関係に悩んだジードだからこそ、タイガに寄り添えることができたのです。
個人的に好きなシーンとしては、タイガ本編のキャラクターの誰かがピンチになったときに颯爽と現れるヒーローたちのシーンです。
特撮作品全体の演出として個人的に好きなんですが、戦っている段階では顔は映らず、「あなたは?」と問いかけた際にようやく顔が映り「俺は〇〇、ウルトラマン○○or仮面ライダー○○だ」と自己紹介する演出が大好きです。
タロウ&トレギア、かつての親友同士の別れ
本映画、そしてタイガ本編のメインヴィランであるウルトラマントレギア。
彼はウルトラマンタロウの親友であり、かつては光の国の科学者として活躍していました。
しかしある出来事をきっかけに光の国と決別。以降は闇のウルトラマンとして宇宙を放浪するようになりました。
※ウルトラマントレギア個人についてもどこかで記事にしようと考えています。
「光も闇も等しく同じもの」「虚無と絶望に魅入られている」という持論を元に行動するトレギアは、本映画ではタロウを闇の世界へ誘います。
悪として完成していまいもう後戻りのできないで存在であっても、友を光の国へ連れて帰ろうとするタロウ。
正義の道を突き進み、今や伝説の存在となった友を自身と同じ闇の道へ誘うトレギア。
思想や立場は違っても、どちらも友のためを思っての行動だと思うとなんだか切なくなります。
最終決戦の際、敗北し消滅する直前にトレギアが言った「タロウ…」という呼びかけ。
親友の最期を見届け、「トレギア…」と呟くタロウ。
お互いがお互いの名前を呼ぶ際、どんな感情が込められていたのでしょうか?
まとめ
できるだけネタバレを避けながら紹介したのでかなり曖昧な表現で伝わりづらい部分が多かったと思います。
本作はウルトラ映画としても完成度の高いものでしたが、今の辛く苦しい世の中にいる我々に対しての大切なメッセージも込められていたんじゃないかと感じました。
戦いが終わり、先輩たち一人一人がヒロユキに「頑張ったな」と声をかけるシーンがありました。これはウィズコロナ時代の我々への直接的なメッセージとも取れます。
トレギアに対しての「俺たちは一歩も退かない!」というタイガのセリフ。
一度は闇に堕ちながらも、絆の力で困難を乗り越えたタロウ。
悪ではあっても、親友であったタロウが大好きだったからこそ自身と同じ世界へ誘いたかったトレギア。
諦めない思い、仲間を信じる思い、友と一緒にいたいという思い。
支え合いが必要な世の中だからこそ、こういった映画は必要なのではないでしょうか?
子どもの頃はただの一つのヒーロー物として見ていた特撮作品ですが、大人になるとメッセージ性の強さというものに驚かされます。
これだから特撮はやめられません。
タイガたちの雄姿をもう一度振り返ろう!
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