あなたの常識はその人の常識ではないかもしれない。もしくはその人にとっての常識はあなたにとって理解できないものかもしれません。

例えば『家の中でも靴を履く海外の常識』『仕事終わりに「お疲れ様」と言う日本』など、他者がみれば理解できない常識がたくさんあります。前者は日本では「汚い」という理由で注意されますし、後者は海外では「疲れるほど仕事をする概念がない」と捉えられます。

つまり「当の本人にとっては当たり前」とういう行動は、悪気はなくいつもの習慣で行っている・恐れられる意味が分からないということなんです。

そしてその常識は育った環境で培われます。

今回紹介するのはそんな「受け手側にとっては非常識なことをしているためどうにかして排除したい、でも本人にとっては当たり前の行動をとっているだけであり除け者にされる理由はない」という怪獣を紹介します。

「ウルトラマンマックス」第15話『第三番惑星の奇跡』より「完全生命体 イフ」です。

あなたの持っている常識、本当に常識ですか??

 

 

イフとは?どんな怪獣?

ある日、宇宙から謎の物体が飛来します。その物体は生物感がなく動くわけでもありません。

こんな物体が…

© 2005年 円谷プロ

さてこの時点であなたの常識を超えています。まあそれを言ってしまえば怪獣全般がそうなんですが…。

 

劇中に登場する防衛チーム「チームDASH」は問題無しと判断し焼夷弾による焼却処分を行いました。

すると…

© 2005年 円谷プロ

あら不思議!インスタ映えしそうな見た目から一変。全身トゲトゲの異形の存在へと変わりました。おまけにトゲ部分からは火炎弾をぶっ放し、周りを焼き尽くします。

 

危機感を感じたDASHは直ちに撃破しようとミサイルやレーザーで攻撃すると…

© 2005年 円谷プロ

更なる姿へと変貌し、火炎弾・ミサイル・レーザーを際限なくぶっ放します。

 

ここでウルトラマンマックスが登場。必殺技で一度はイフを木っ端微塵にするのですが…

© 2005年 円谷プロ

一度はバラバラになったイフですが瞬時に再生しより狂暴な姿へ。そしてマックスの必殺技も真似し撃ちまくります。

圧倒されたマックスはエネルギー切れを起こし撤退まで追い込まれてしまいます。

 

ここまでお話ししてイフがどういった怪獣かわかったでしょうか?

そう。イフの特性は…「受けた刺激を増幅し再現する」というものでした。その上一度身体を粉砕されても再生し強くなり続けます。

マックスが撤退したあともイフは暴れ続け、あたり一面を焦土と化します。

例え世界中の兵器をしようしたとしてもイフはそれすらもそのまま返してくると推測されます。

自分たちの使った兵器を模倣した攻撃によって壊されていく街。見方によっては「人類兵器がどれだけの被害をあたえるか」を嫌と言うほど見せつけられているような感じです。更に「ウルトラマンの力もこれほどの威力である」という証明にもなります。

最初の段階でそのまま宇宙に運ぶなり平和的な解決方法もあったはずなんですが、地球外の異物は排除せよという早急な対応を求められていたんでしょうか?

まあ確かに焼いた方が手っ取り早いんですけどね💦

 

さて、散々街で暴れまわったイフ。

その存在に決着をつけたのは……なんと一人の盲目の少女でした。

「怪獣さんは音楽嫌い?私は…大好きなの…」

少女はそうイフに問うと、持っていたピッコロでショパンの「別れの曲」を吹きました。

その音色を聞いたイフは…

© 2005年 円谷プロ

パイプオルガン・ハープ・ユーフォニアムと全身を楽器へと変え、少女と合奏を始めました。

そこにマックスが再登場。DASHの隊員と協力し、少女を車に乗せ宇宙へと飛び立ちます。イフも少女の吹くピッコロの音色に引き寄せられるように飛び立ち地球を去って行きました。

サブタイトルにもある『第三番惑星の奇跡』はこのような形で起こりました。

 

 

まとめと考察:イフは破壊活動が目的だったのか、それとも…。

さて、物語の結末はハッピーエンドとして終わりましたが皆さんはこの怪獣は何が目的だったのでしょうか?

破壊の限りを尽くしていたんだから侵略に決まっている!! いえいえ先に攻撃をしかけたのは人類です。

イフ本人としては、いきなり攻撃されたからやり返しただけ?

 

では地球を去るまでの一連の動作を振り返ってみましょう。

基本イフは、兵器しかり音楽しかり、人類側が与えた刺激を模倣しています。

イフの方から動き出す様子はみられませんし、イフ特有の攻撃手段も持ち合わせていません。

全て外部からの刺激を元に自身も動き出しています。

 

今回の考察、他の特撮ファンの方も唱えていたのですが「イフはコミュニケーションをとろうとしていたのではないか?」ということです。

人間は言葉、動物は匂いを嗅ぐなどして他者とやりとりをします。

それと同様にイフの場合は他人の力でコミュニケーション手段を確立する生命体だったのではないでしょうか?

人間の場合、まだ幼く物事の善悪の区別もつかない時期は周りのあたえる教育法や周囲の環境をそのまま心身に取り入れて成長していきます。

良い例えかは分かりませんが、菜食主義の環境で育てば肉を食べることはあり得ないという思考になりますし、暴力的な環境で育てば相手を傷つけることが当たり前という思考となります。

世間を震撼させた凶悪な犯罪者なんかも、実は生い立ちが悲惨だったなんてことがありますよね。

育てられた環境で教えられた物事はその人にとっては常識となり、それがおかしいなんて微塵も思いません。なぜなら常識だから。

 

さて、イフはコミュニケーションが目的だったと書きました。

最初の白い球体上だった頃はまだなにも知らない乳児の状態。相手とのやりとりの方法なんて知らない状態です。

そこへ外部から、焼夷弾という「挨拶」をしてもらいます。

イフ「あ、これがこの星の挨拶なんだ!」

おそらくこの時点でイフは、相手に痛みを与えることが地球の伝統ということをある程度(間違って)学んだのではないでしょうか?

イフ「僕も挨拶し返さなきゃ!」 イフは火炎弾でお返しをします。

凶暴化したと思い込んだ人類はミサイルやレーザーでお返しします。

イフ「歓迎してくれてる!!僕も僕も!!」

こうしてイフは、攻撃という地球特有のコミュニケーション手段を学び街中に挨拶周りをしたのではないでしょうか?

人類からしてみれば迷惑極まりないのですが、イフには悪気はないです。

ただただコミュニケーションをとっているだけなのだから。

最後の少女との合奏も、新しく出会った友達との触れ合いだったのでしょう。

もしイフが複数体いて他の星にもいたとしたら、また違った特徴を持っていたかもしれません。

 

初対面の相手とのファーストコンタクトってとても重要です。

自分が与える印象って、その人の自分に対する今後のイメージを左右していきます。

イフの場合も最初の出会いを誤りさえしなければどこまでも無害な存在だったわけです。

僅かなずれで誤解されることが多いコミュニケーション。

それには真に正解というものはなく、常に学んでいかないといけないものですね。

常識というものも地域や国によって違います。それを否定しないことが大事ではありますが、受け手側の常識というものあるのでなかなか理解するのは難しいです。

常識的な「常識」というものは存在しないのかもしれません。